2015年2月7日土曜日

クマラスワミ報告書に対する外務省の幻の反論文書

産経の阿比留論説委員が慰安婦問題の国際的な展開過程で重要な国連クマラスワミ報告について書いておられます。1996年に嘘だらけのクマラスワミ報告書が出され、当時の外務省がきちんと反論しようとして文書を作った、そこまでは良いのですが、なぜかそれを引っ込めてしまった。
阿比留氏や山田議員が指摘のように私もこれはポイントを押さえた良い文書であると思います。今でもかなりの部分がそのまま使えそうです。

反論しない=嘘であっても事実と認める、確定してしまう事ですから、これはもう国家にとって大変な損失であったと思いますが、なぜこれを引っ込めたのか、こんなに重要な国益に直結する判断を外務省が独断専行で行う、行えるとは思えません。河野談話も出した後であり、当時でも大変重要な事案でした。そう認識していたからこそ、外務省は反論しようとしたのです。それを引っ込めたのは当然政治の判断があったものと思います。
つまりどういう勢力がどういう意図でこれを中止させたのか?これを出していればその後どういう結果になっていたかは不明ですが、少なくともこういった反論はすべきでした。反論せずに結局「日本は反省しています、謝罪もしています」と繰り返す路線になってしまい、それがもう20年続いています。この反論を止めさせたのは誰だったのか?外務省幹部も取り下げた経緯が分からない?嘘おっしゃい。本当の幹部ならそんな事はないでしょう。それとも「墓まで持って行くような話」だったのでしょうか。それもあり得るとは思います。



(産経新聞)
クマラスワミ報告書に反駁 幻の反論文書を公開すべき

http://www.sankei.com/premium/news/141009/prm1410090012-n1.html

 慰安婦を強制連行された「性奴隷」と認定した1996年(平成8年)の「クマラスワミ報告書」について、6日の衆院予算委員会で興味深い質疑があったので紹介したい。次世代の党の山田宏幹事長が、日本政府がいったん明快な反論文書を作成しておきながら、なぜかすぐに引っ込めた経緯をただすと、岸田文雄外相はこう答弁した。
 「文書に関し、詳細すぎるといくつかの国から指摘を受けて、簡潔な文書を改めて出した。(初めの)文書は、現状では取り扱いは非公開となっている」
 この幻の反論文書の内容については産経新聞は今年4月1日付紙面で既報だ。簡単におさらいすると、クマラスワミ報告書に対して、具体的な事例を示して次のように反(はん)駁(ばく)している。
 「客観的資料は無視し」「事実調査に対する姿勢は甚だ不誠実」「無責任かつ予断に満ちた」「軽率のそしりを免れない」「歴史の歪(わい)曲(きょく)に等しい」…。
 その上で国際法上、「いわゆる『従軍慰安婦』の制度を『奴隷制度』と定義することは法的観点からは極めて不適当である」と指摘し、クマラスワミ報告書は「かえって問題の真の解決の妨げとなることを深く懸念する」と結論する。
 報告書は、慰安婦狩りを証言し、朝日新聞もこのほど記事を取り消した吉田清治氏の著書などに依拠しているのだから当然だろう。
 今月6日の質疑で山田氏が「なかなか良く書けている。日本の立場を説明できる文書だ。ぜひ公開してほしい」と求めたほどで、今読んでも違和感はない。
 ところが、現実にはこの反論文書は撤回され、慰安婦募集の強制性を認めた河野談話や、元慰安婦への支援を行うアジア女性基金の取り組みを紹介した簡略版の文書に差し替えられる。クマラスワミ報告書への直接的な批判は圧縮され、抑制的なものとなった。
 歴史の事実関係は一切争わず、「法的には決着済み」「もうすでに謝罪している」で片付けようという、われわれが見慣れた日本の「事なかれ外交」に落ち着いたわけである。
 とはいえ不思議なのは、当初は日本側も「日本政府として法的に反論すべきことはしていく」(当時の橋本龍太郎首相)などと強気だったのに、その後は反論文書自体をなかったことにしていることだ。
 そもそも、一度は関係各国に配布された公の文書だったはずの反論文書が、現在では日本国民にも「非公開」とされている理由がさっぱり分からない。
 当時、反論文書に対して中国や韓国、北朝鮮などの国や日本の人権派弁護士やNGO(非政府組織)が反発したことは分かっている。ただ、それと政府の方針転換が直接結びついているのかは藪の中だ。
 反論文書が取り下げられた経緯について、現在の外務省幹部はこういう。
 「われわれが調べても分からない。だが、きちんと間違いを指摘したもとの反論文書と簡略版はまるで別のシロモノだ。いつか反論文書は公開すべきだ」
 反論文書を公開すれば、安倍晋三政権が歴史を修正しようとしているのではなく、日本政府は平成8年当時から、慰安婦問題の事実関係についてこう認識していたのだと内外に示すことができる。無意味な非公開指定はさっさと解くべきである。(政治部編集委員)

0 件のコメント:

コメントを投稿