昨年12月22日に朝日新聞の第三者委員会報告書が発表されてから一か月以上が経過しましたが、そのポイントをまとめたいと思います。
http://www.asahi.com/shimbun/3rd/3rd.html
まず時系列です。
8月5日・6日 慰安婦問題検証記事
12月22日 第三者委員会報告書発表、全委員による記者会見
12月26日 第三者委員会報告書提出を受けて朝日新聞社長が記者会見
報告書も110ページありますし、会見も長いので、フォローするのは正直なかなか大変です。しかし、私の方で確認した重要と思われるポイントを皆さんとシェアしたいと思います。主な点としては以下の通りです。
8月5日・6日検証記事
①吉田清治証言は嘘であった、関連記事を取り消す。(謝罪は無し)
②植村隆元記者の1991年の2本の記事は慰安婦と女子挺身隊を間違って混同してしまったものであって意図的な捏造・事実の捻じ曲げは無く、また、義母が幹部を務める団体の裁判のためであったという事もない。
③1992年1月11日の記事は偶然にも首相訪韓の時期と重なったものであり、狙い撃ちではない。
④吉田清治証言が嘘だったからと言って女性が自由と尊厳を奪われたという強制性があった慰安婦の問題は変わらない。本質は女性の人権問題である、これを直視せよ。
12月22日第三者委員会報告(報告書の内容+記者会見)
①吉田清治については当然嘘、これを訂正せずに放置した責任は大きい。
②植村隆元記者の記事は意図的ねじ曲げとは認められないが、「8月記事では実際と異なる表現を用いているため強制的な事案であるとの誤ったイメージを読者に与えかねないこと、12月の記事においては、金氏が(註:キーセンも含め)慰安婦となった経緯についても正確な事実を提示し、読者の判断に委ねるべきであった」という評価。「安易かつ不用意な記載であり読者の誤解を招くもの」「『だまされた』ことと『連行』とは、社会通念あるいは日常の用語法からすれば両立しない。」とも指摘される。
会見で「12月記事は裁判訴状(金学順さんが養父に連れられて、と記載)を見た後に書いたにもかかわらず、キーセンについて書いていないだけではなく養父を『地区の仕事をしている人』に書き換えたというのは意図的な事実のねじ曲げではないか?」と質問者が粘って追及するが、中込秀樹委員長が「事実のねじ曲げではない」「録音テープを再現したらこうだったという説明で承知した」「その先と言うか、そこまでの検証で十分だと判断した」「ご意見はご意見で十分承りました」と回答。(この委員長の説明は前後のやり取りの切れ味の鋭さや正確さを見ていても、能力や経歴的にも正直信じられません)
③1992年1月11日の記事は首相訪韓狙い撃ち疑惑については狙い撃ちの意図があったかまでは確認できないが、「慰安婦問題が政治課題となるよう企図して記事としたことは明らか」と認定。
④1997年3月31日の検証記事など、(吉田清治的な)狭義の強制性が崩れた後の(河野談話に依拠した)「広義の強制性」論は議論のすり替えである。
⑤池上コラム不掲載については、9月11日会見時の木村前社長と杉浦前取締役の説明は事実を正確に反映していたとは言えず、実質的には木村前社長の判断であった(会見で「思い込み」と説明)と認定。
⑥朝日新聞慰安婦報道が国際的に与えた影響については3つの説(評価が分かれたというよりもアプローチの違いとの説明)を併記。うち2つはかなりあったと言って良いもの。残る1つ(林委員)については影響は大きかったとは言えない、という結論。(この林氏の内容については別の機会に検証予定です)
次回に続きます。
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