2015年3月3日火曜日

朝日新聞第三者委員会報告書についてもう少し見てみる

昨年の12月22日に発表された朝日新聞の第三者委員会の報告書。もうしばらく時間が経っており。それに対する外部からの批判、例えば保守系雑誌による一斉批判や、「朝日新聞『慰安婦報道』に対する独立検証委員会」による批判、

http://ianfucwi.blogspot.jp/2015/02/blog-post_19.html

先日の弁護士などによる外部者から「合格に値しない」とされる(その内内容をご紹介します)など、批判的意見が目立ちます。しかし、朝日新聞はこれらの批判を受け入れたわけではありません。

朝日新聞的にはまだまだ自社の第三者委員会の報告書が正しいものであり、しかもその中の都合の良い部分(意図的な捻じ曲げは無かった、朝日の国際的影響は限定的であった、など)は金科玉条のように重用する一方で、「広義の強制性は議論のすり替え」という批判の部分にはダンマリです。

下記のものは掲載しようと思ってしばらくしてしまったものですが、この機会にご紹介します。

(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/ianfu/20141226-OYT8T50050.html

第三者委報告どう見る…具体性欠き疑問残る

執筆者が不明のままの取り消し対象記事がいくつも残るなど、最終的な報告書として事実関係の解明がこの程度でよいのかとの思いはぬぐえない。第三者委員会の権限がどこまであったのか、朝日側がどの程度に協力したのか分からないが、調査が不十分とは言える。

確かに一見それなりに踏み込んだように見える第三者委員会報告ですが、重要な記事について、「誰がどのような意図や背景で書いたのか」について解明されないなど、不思議な点がまだまだ残っています。8月5日の検証で82年記事を書いたとされる記者がその後「実は書いていなかった」と訂正されるも「ではこの人が書いた」というのは不明なままなど、非常に不可解な状況のままです。


 元慰安婦の証言をいち早く報じた、元大阪社会部記者・植村隆氏による1991年の記事掲載の経緯もその一つだ。報告書は、植村氏の言葉の選択を「安易かつ不用意」と指摘したが、当時の大阪社会部の編集幹部がなぜ、そのような表現を修正せず、そのまま掲載したのかなど、明らかになっていない点は多い。

私は朝日新聞の慰安婦問題は第三者委員会報告後も大きく二つの問題が残っていると思います。一つは「広義の強制性」がまだ有効と考えるかどうか。もう一つが植村隆元記者の記事に「意図的な捻じ曲げがなかった」というのが妥当かどうかです。

 一連の慰安婦問題の報道を巡っては、朝日は97年に特集記事を出した時など、「吉田証言」を誤りと認める機会は何度もあったが、できなかった。ところが、報告書では「上位の者」がこの判断に関与した可能性などをうかがわせながら、その氏名や指示の内容などの具体的な記述がない。第三者委が当時の社長や編集幹部らから、どれだけ話をしっかりと聞いたかも明らかにされず、記事取り消しが遅れた原因は何なのかという疑問を氷解させるには至っていない。

なるほど、具体的に誰がどういう意図を持ってどういう動きをしたか、そこはまだ現時点でも未解明ですね。

 第三者委は、結論を2か月ほどでまとめてほしいという朝日の意向を重視しすぎたのではないか。調査すべき点がまだあるなら報告時期を延期してもよかった。

確かに期限が短くて重要な部分を調査し切れなかったとしたら本末転倒でしょう。例えばあと1か月かけてもっと掘り下げる事が出来たのならばその方が価値があったかも知れません。

 そもそも、朝日は第三者委に検証を委ねる前に、自らの手でしっかりと調べるべきだった。自社の問題を社内で十分に対応せずに外部に依頼するのは、自分たちでやれることはもうないと言うようなもの。当事者意識が希薄だ。

この点は色々な人が度々指摘しています。「報道機関ならまず自分で検証すべきだ」と。しかし、朝日新聞は「外部の第三者委員会に大変精緻に調査していただいた、もう不明な点は無いし、再検証の予定も無い」という姿勢です。まあ倒産覚悟で社内の心ある人達が本気で調査しない限り「朝日新聞に自浄能力も検証能力も無い」というのは事実だと思います。
 また、第三者委に依頼しておきながら、木村伊量(ただかず)・前社長が報告書を待たずに辞任したことは言語道断だ。報告書を受け取るべきは、渡辺雅隆・現社長ではなく木村氏であることを第三者委はもっと厳しく批判してもよかった。

ああ、ここは重要ですね。同業者に「言語道断」とは強い表現です。木村社長は逃げてしまい、全部若い渡辺社長に押し付けてしまいました。後任社長は天下の朝日の社長と言えども集中砲火を浴びる謝罪役ですからなかなかなり手がいなかったという話もあります。9月11日の木村社長の謝罪会見も「メインは原発吉田調書、慰安婦は(表現は違うものの)ついでに」でしたし、木村社長の辞任も12月22日の慰安婦第三者委員会報告書提出を待たずに、11月に原発吉田調書について責任を取る形で辞任を決めてしまいました。木村社長は長年放置してきた慰安婦「誤報」について、中途半端な形とは言え8月5日訂正記事を出したこと自体は多少は評価したいと思います。ただ、そこまでやるなら最後まできちんと責任を取るべきでした。原発吉田調書よりももっともっと大きな国際問題、慰安婦問題の第三者委員会報告書が出る前に逃げてしまいました。謝罪で疲れてしまったのかも知れませんが、残念です。

 一方で、評価できる部分もある。池上彰さんのコラムが不掲載となった問題について、実質的に判断したのは木村氏だったと明確に指摘したことが一つ。ほかにも、林香里委員(東大大学院教授)が国内や海外の新聞記事などを丁寧に当たり、国際社会に与えた影響について調べあげたことも目を引いた。ただ、それが単なる事実の提示にとどまったことは残念だった。林委員が示したデータを基に、各委員が深い議論を重ねたようには見えなかった。

報告書はかなりの部分が各人が持ち寄った継ぎはぎになっていましたね。

 来年は戦後70年を迎える。いわゆる従軍慰安婦問題について、当時を知る関係者への取材はまだ可能だ。時間はかかっても調査を尽くし、誤報に至った経緯と背景を自ら明らかにすることが、報道機関として朝日がとるべき態度だろう。(聞き手・社会部 野崎達也)

その通り、朝日新聞の第三者委員会報告書では未解明のところもきちんと解明してこそ、朝日新聞がまともな会社としてやっていける可能性があると思うのですが、、、まあ更生不可能、無理でしょう。

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