当ブログは本来慰安婦問題にスポットを当てていますが、世界遺産の件は慰安婦問題と似た構造の重要な問題であると思いますので、注目しているところです。
追加の情報が出てきて、様子がより分かってきました。前回ご紹介した読売新聞の報道ですが、やはり正しかったようで、今回産経新聞で同じ方向でより詳しい報道が出ました。
http://www.sankei.com/politics/news/150711/plt1507110003-n1.html
残念ですが、6月21日・22日の韓国尹(ユン)外相来日の段階で安倍首相の了解も得た上で「forced to work」表現について日韓双方で合意していたようです。安倍首相・政権はもちろん良い点も多く、一つによって全否定すべきものではないと思いますが、今回の件については失態でした。
「forced to work」とは言ったが、それは徴用である、「強制労働」ではない、奴隷労働条約にも該当しない、こういった事をいくら日本語で主張しても手遅れの感があります。「forced labour」ではないので問題なかった、という事には全くならず、そもそも「forced to work」や「brought against their will」という表現も使うべきではありませんでした。譲歩し過ぎでした。それらにかかわらず、韓国や欧米ではすでに「forced labour」報道が大きく流れています。さらに今後予想される韓国の宣伝工作の能力や執拗さ(粘り強さ)には一目置かざるを得ません。
自民党内でも疑問の声多数のようです。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150710-OYT1T50154.html
しかし、残念ながら今さら「『forced to work』とは言ったが、『forced labour』」ではない、別物である」と主張しても今度は慰安婦問題でもおなじみの「安倍首相や日本はやはり(不都合な事実を認めない)歴史修正主義者=revisionistである」と言われてしまうでしょう。
このあたりの状況は過去20年以上、河野談話によって日本が苦しんできたことと重なります。「河野談話の文言では慰安婦の軍による強制連行は認めていない」という説明が理解されてきたでしょうか?全く違います。もちろん状況が悪化するのを放置するのではなく、発言の撤回や上書きなど何らかの方法で方向修正は試みるべきであると思います。
上記産経の記事からは色々な事が分かります。
・韓国が世界遺産登録に際して文句を言ってきた
・韓国が約束を破り裏切った
・交渉過程において外務省も「怒号飛び交う」やり取りをしていた
・今回の世界遺産登録は通常の扱いではなく、「首相=官邸」案件とされていた
・「forced to work」案は外務省が大局的観点で準備し、首相が了承した
・「forced to work」表現は主に以下を達成することを考慮して使う事を決めた。①国民が待ち望む世界文化遺産への登録②国交正常化50周年を迎えた日韓関係改善③日米同盟強化のための日米韓の連携など
・尹氏らに韓国政府が今回の発言を財産請求権において利用する意図はないと確認している
・6月時点で「forced to work」表現は「最後の一線は守って」おり、その表現で問題なしと日本側は判断していた
残念ながら今回の件で日本は慰安婦問題に加えて、徴用工の「強制連行」「強制労働」の問題を生んでしまったものと思います。
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