慰安婦問題において朝日新聞が「自分たちの報道は国際的な影響は無かった」かのように主張している事についての先日の記事に、多くのアクセスをいただきました。
その点について、足りなかったところを少し補いつつ、別の角度から再度振り返りましょう。
その点について、足りなかったところを少し補いつつ、別の角度から再度振り返りましょう。
1 まず流れです。
①2月16日、ジュネーブでの国連女性差別撤廃委員会において日本政府(杉山外務審議官)が初めて慰安婦問題で反論。吉田清治や朝日新聞の固有名詞に触れつつ、性奴隷や強制連行の誤解に対して指摘を行う。
②翌17日、朝日新聞は同会議についての紹介の記事を掲載するも、4回言及された 「朝日新聞」には一切触れず。(読者に対して隠蔽、または作戦を練っていたか)
③19日、朝日新聞は外務省に対して「根拠を示さない発言」として遺憾の申し入れ(=外務省への抗議と世間への無罪アピール)。
④23日、岸田外相がこれを一蹴。
2 次に朝日新聞の論理構成を見てみましょう。これが一見しただけでは誤解するような非常に巧妙なものとなっています。得意技の捏造的な手法と言って良いでしょう。
①杉山審議官発言「吉田清治が捏造をした、それを朝日新聞が取り上げて国際社会にも大きな影響を与えた」⇒ここがポイントです。
なお、朝日新聞は「捏造(ねつぞう)」という指摘や用語を大変嫌がります。「誤報」と主張し、「捏造」は「珊瑚事件」以降は絶対認めたくありません。図星だからでしょうか。
②杉山審議官は「朝日新聞報道が国際社会にも大きな影響を与えた」と言っているのに、朝日新聞は意図的に吉田清治の話に持って行き(すり替え)、「吉田清治の話は国際的影響は無かった」と強弁。
③朝日新聞第三者委員会の吉田清治についての見解はこうでした。朝日新聞記事ではここだけ切り取って紹介し、印象操作し、捻じ曲げています。
②杉山審議官は「朝日新聞報道が国際社会にも大きな影響を与えた」と言っているのに、朝日新聞は意図的に吉田清治の話に持って行き(すり替え)、「吉田清治の話は国際的影響は無かった」と強弁。
③朝日新聞第三者委員会の吉田清治についての見解はこうでした。朝日新聞記事ではここだけ切り取って紹介し、印象操作し、捻じ曲げています。
・岡本行夫委員、北岡伸一委員
「吉田証言が大きな役割を果たしたとは言えないだろう」
・波多野澄雄委員
「朝日新聞の吉田氏に関する『誤報』が韓国メディアに大きな影響を及ぼしたとは言えない」
・林香里委員
「国際報道調査のもっとも端的な結論は、朝日新聞による吉田証言の報道、および慰安婦報道は、国際社会に対してあまり影響がなかったということである」
④しかし朝日新聞第三者委員会の朝日新聞の慰安婦問題の国際的な影響についての見解はこうです。下記の波多野澄雄委員の意見は今回の記事ではカットされています。
④しかし朝日新聞第三者委員会の朝日新聞の慰安婦問題の国際的な影響についての見解はこうです。下記の波多野澄雄委員の意見は今回の記事ではカットされています。
・岡本行夫委員、北岡伸一委員
「(朝日新聞は)韓国における過激な慰安婦問題批判に弾みをつけ、さらに過激化させた」
・波多野澄雄委員
「この(92年1月11日の)スクープ記事は、韓国世論を真相究明、謝罪、賠償という方向に一挙に向かわせる効果をもった」
「92年1月11日の朝日新聞報道は、宮沢首相の訪韓と首脳会談にも影響を与えた」
・林香里委員
同上
これらをまとめると、吉見義明教授を応援する立場でありその調査手法にも疑問が残る林委員の話は参考程度としますが、踏み込みの甘い朝日新聞第三者委員会ですら全体として国際的な影響についてかなり朝日新聞の責任ありとしています。
3 まとめます。杉山審議官は「慰安婦問題は吉田清治の嘘と朝日新聞の報道で国際問題化した」と言ったのを、朝日新聞は
「朝日新聞第三者委員会では吉田清治記事の国際的影響は大きくないという結論だった」
「だから朝日新聞に慰安婦問題が国際的問題化した責任は無い」
とすり替えて論理を飛躍させた主張をしているものです。
とすり替えて論理を飛躍させた主張をしているものです。
3件もの集団訴訟を抱えているという背景や国民の目が恐いのもあるかも知れませんが、それにしても酷い姿勢です。もはやジャーナリズムではなく、不祥事の隠蔽もみ消し工作に汲々の状態でしょう。
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